ひとは誰しもが、人的資本、金融資本、社会資本という三大資本を持っており、この多寡とバランスが「幸福」を左右する。と、橘玲氏の著書「幸福の資本論」の中で語られています。
簡単に言えば、
- 人的資本=仕事
- 金融資本=資産
- 社会資本=人間関係
この三つの要素をどうバランスさせるか、どう活用するかによって人生の幸福感は大きく変わってくるという訳です。
しかもこの三つの資本の量やバランスは常に一定ではなく、様々な要因で簡単に動きます。
特に2020年現在、コロナウィルスによって経済活動が止まっている関係でこの三資本も大きく変化していることを実感できます。
私自身、4月〜6月の給料最大2割カット+ボーナスカットが濃厚となり、年収にして約60万円程ダウンすることがほぼ確実となっています。
稼ぐチカラ、人的資本が大きく減少していることを感じます。
同じように多くの人が様々に人生の不安を抱えていると推測できますが、その不安の正体は概ねこの三つの資本に集約されるはずです。
例えば、「人生詰んだ!」みたいな状態は三つの資本全てが大きく減少した時に発生します。
そうならない為に、それぞれの量、そしてバランスは常に気にかけておきたいものです。
平時には見えてこなかった問題が、この有事においてより見やすく、顕在化するかもしれません。
幸福な人生を生きるために、今こそ総点検です。
有事のいまこそ投資をスタート。金融資本を強化する。
三つの資本全てが高次元でバランスされていれば言うことなしですが、そうはいかないのが世の常です。
年収300万円〜400万円位の仕事があって、親兄弟、妻子供、地元の友達とも良好な関係を築けているけど、貯蓄がほぼない。とか、
とにかく年収がものすごく高いし、貯蓄や資産も潤沢だけど、家族とも疎遠で人間関係を構築する余裕もない。など。
往々にして何かが欠けていたりするものですが、実は三つの資本全てが揃わなくても、「そこそこの二つ」があれば、人生意外とうまく行ってしまうものです。
問題は全てがなくなった状態。
仕事もなく、当然貯蓄もなく、親兄弟含めて頼れる人間がまるでいない。
これを「貧困」と定義するそうで、幸福な人生を送る為に最も避けなければいけない状態です。
例えばもし今仕事を失ったら?
平時ではなかなかリアルに想像できませんが、有事の今ならばかなりリアルにイメージ出来るのではないでしょうか?
仕事を失うということは人的資本=稼ぐチカラがゼロになることを意味しますが、その時に自らの「金融資産」か「人間関係」がそれを補うことは可能でしょうか?
仕事を失い、毎月の収入がゼロになったとしても、預貯金や運用資産がもたらす利益によって生き延びることが出来るのであれば人的資本に加えて「金融資本」も保持している証拠。
もし、預貯金も金融資産も「家」という資産もないものの、例えば実家に身を寄せることが出来る、古くからの付き合いのある隣人や友人宅に居候させてもらったり助けてもらうことが出来る関係性を持っている、となれば人的資本+強力な「社会資本」を保持しているということでしょう。
こうして三つの資本の内、二つでも揃っていれば、ひとつが欠けてもそうそう酷い事にはならないでしょう。
ほどほどの人間関係力と仕事力、ほどほどの金融資産と仕事力、ほどほどの金融資産と人間関係力。
このどれかのパターンが構築できればまずはOKではないでしょうか。
一番手っ取り早いのが金融資本
ところで、
- 人的資本
- 金融資本
- 社会資本
の内、その構築難度が最も低いものはどれでしょう???
これ、思うに金融資本が最もハードルが低いのではないでしょうか。
人的資本も社会資本も自分ひとりだけの努力ではどうにもならない側面があるかと思います。結局は、「相手」あっての事なので自助努力だけではどうにもならない部分が存在するのがこの二つの特徴です。
対して金融資本はと言えば、自助努力だけで概ね完結してしまいます。
もちろん、お金の話なので人的資本とも密接に関わりがあるし、一朝一夕に出来上がるものではないですが、然るべき手順を踏んで再現性の高いやり方を選択すれば確実に強く大きくなっていくのが金融資本の特徴です。
努力した分報われる公算が高いと言いますか、他二つと比べて不確定要素が圧倒的に少ないです。
金融資本力に乏しい日本人
ところで金融広報中央委員会による資料によれば、世帯主の年齢別金融資産額(2019)は、
- 20代 71万円
- 30代 240万円
- 40代 365万円
- 50代 600万円
- 60代 650万円
だそうです。
※すべて中央値、平均値はそれぞれほぼ倍の数字になります。
率直に言ってかなり少ないです。
なるほど、だから老後2,000万円問題があれほどの騒ぎになったのでしょう。
「貯金大好き日本人」みたいなイメージがありますが、それは「資産額の中身がほぼ預貯金」という事であって、そもそもの額が多いわけではないようです。
調和を重んじて勤勉に働く。
言い換えれば社会資本と人的資本。日本人が得意とするのはこの二つで、実は金融資本が苦手。そんな弱点が炙り出されます。
いまこそ金融資本の強化を
金融資本の強化とひと口に言っても、そう簡単に構築出来るものではありません。
しかしだからこそ早い内に、できれば20代、遅くとも30代の内に未来の自分の金融資本増強に動くべきです。
ただ、その際に気をつけたいのはコツコツと貯金だけをして資産を創ろうだなんと考えないこと。
これでは目的地まで延々と徒歩で旅をするようなモノです。
世の中には自転車もあればクルマも、電車も、新幹線も、飛行機もあるのです。ルートに応じて適切な移動手段を選択し、スピードを上げましょう。
本当の旅であれば徒歩も魅力的な手段ですが、金融の世界で言えば、貯金ではなく株式への投資を行うことは今や必須です。しかも個別の銘柄選択をする必要はなく、投資信託やETFを通じて投資すれば望む結果が得られるはずです。
いまこそ投資をスタートし、金融資本の強化を!