紆余曲折を経て、初めての青色申告がようやく完了しました。いやはや迷いに迷った。迷走した。
昨年1月頃ブログにもアップしたように個人事業主として開業届け&青色申告承認申請書を税務署に提出しました。
「これからは事業としてブログを運営します」「そして確定申告は青色申告で行います」という宣言を税務署に対してした訳です。目的は節税です。開業届けを出し青色申告申請をし、実際に複式簿記という難しい方の簿記形式で申告をすれば65万円の控除、つまり65万円分の税金割引を受けることが出来ます。正確には経費に65万円分が自動的に上乗せ→結果課税される所得が減り税金が低くなる。という算段です。
青色申告には難しい複式簿記と簡単な簡易簿記の二種類があって簡単な方の簡易簿記で行った場合の控除額は10万円です。これでもあるだけましですが、せっかくなら65万円控除を狙って複式簿記でやりたい。まあ何とかなるだろうと思いながら早くも2月を迎えた訳ですが・・・
初めての青色申告は青色申告会を活用せよ!
甘かった。実に甘すぎた。
開業届け&青色申告承認申請書を出し、1年が経っていよいよ申告の時期。普段の経費管理や仕訳は「MFクラウド確定申告」で何とな〜くやっていたし、あとはソフトがポポンと確定申告書を出してくれるでしょう。と、思っていました。
が。簿記の知識がまるでないズブの素人が簡単に複式簿記で申告が出来るほど世の中甘くは無いのです。
去年は雑所得で申告をしたので毎月の支出の中から経費になりそうなものをピックアップして仕訳登録、あとは年度末に経費の取りまとめをして売上ー経費=所得で確定申告書をピピッと作成して提出、完了!という流れだったので今回もそのまま経費の仕訳をざっくりやっておけばあとはMFクラウド確定申告がやってくれるでしょう。という浅はかな目論見で事を進めていました。
だってこんなキャッチコピー↓だったから・・・
タイシャクタイショウヒョウって・・・
いよいよ確定申告の時期が迫る2月上旬。「さあてそろそろ確定申告書でも作るか〜!」と作業を開始したのですが、その段になって青色申告65万円の提出書類内容を知る。というおとぼけ展開。
まず確定申告書。これは雑所得の時と同じ。売上があって経費があって給与所得やその他控除を記載する欄があって。ここは特に問題なく、1年間の数字をまとめていくだけだったのでOK。
問題は青色申告決算書。損益計算書があって月別の売上明細書があって、減価償却費は特に無いから白紙でOK。貸借対照表があって・・・って貸借対照表ってなに!?
たいしゃくたいしょうひょう・・・タイシャクタイショウヒョウ・・貸借対照表!?
というかそもそも青色申告65万円のゴールが全くわかっていませんでした。一体全体どんな「最終形態」にして提出しなければいけないのか。作業の目的地というか全体像というか、その理解をまったく無いままソフトに頼りっぱなしで申告しようとしていたのでさあ大変です。
全体像、ゴールが全くわからないまま作業を進める感覚わかりますか?五里霧中もいいところ、八方塞がり、ホワイトアウトです。進んでいるのか後退しているのか、右に行ったのか左に行ったのか全く見当がつかないまま歩き、疲労ばかりが蓄積する最悪の展開。
青色申告とは???
何がわからないのかさえわからない。どの方向に歩を出せば良いのか、戻るべきなのか進むべきなのか。完璧に遭難です。
後日、人様のお世話になった所で青色申告のゴールというものがどういう形態かようやくわかった訳ですが、まずこの点を整理して置きたいと思います。
青色申告のゴール・やることはお金の出入り動きを詳細に記入すること。
- 1月1日時点にいくらあったか
- 12月31日までにどんなお金の出入りがあったか
- 何に使ったか
- その結果残高がどう動いたか
- 収支はどうだったか
ということ。そして帳簿と通帳の数字が合うこと。
銀行の口座があって、そこには会社員としての給与の振込があったり、クレジットの引き落としがあったり、ATM引き出しがあったり、確定拠出年金の引き落としがあったり様々なお金の出入り・動きがあるわけです。そんな動きの逐一を帳簿にも記入して通帳とリンク。経費になるもの・ならないものを仕訳してい行くわけですが、そもそも通帳とリンクという前提を理解せず日々の仕訳作業に勤しんでいたお陰で数字は合ってないし、そもそも1月1日時点の残高さえ把握していない。絡まったケーブルのごとくますます混沌を極めることになったのでした。
家計簿などの単純な簡易簿記は「食費◯◯◯円、通信費◯◯◯円」で収入ー支出=利益。というように記載すれば良い訳ですが、複式簿記はここにプラス「それによって資産がどうなったか」を加える必要があります。
例えば「食費が◯◯◯円かかったので結果普通預金が◯◯◯円減りました」とか、「収入が◯◯◯円あったので結果普通預金が◯◯◯円増えました」とか。全て「原因と結果」で記入していく必要があります。またまたこの部分もいまいち理解していなかった為に数字がずれるずれる。。
こうした全ての辻褄が合って初めて青色申告が完了する訳ですが・・・もうほぼパニック状態。脳内メモリー98%以上が青色申告一色。寝ても覚めても青色申告。もう真っ青でした。
だめだ!青色申告がまーーったくわからん完全にお手上げ状態。。税理士さん探すかぁぁぁ
— モッティー (@moneymottoo) 2017年2月8日
税理士さんを探す
元来の性格も手伝って何とか自力で乗り切りたいと、隣町の図書館に出向いて簿記の本やら青色申告関係の本を読み漁り、借り、読み、MFクラウドと向き合う日々。
青色申告の最終形態をどんな状態にすれば良いのか。というポイントを理解してからこれらの本を読み返すとなるほど納得する所も多々あるのだけれど、「どこがゴールか」という根本的かつ初歩的な「そもそも論」が整理されずいまいちピンと来ない。スキーについての指南書で例えるならば「ブーツの履き方・ストックの持ち方・ビンディングのはめ方」の前に、「そもそもスキーとはリフト券を購入し、山の一部であるスキー場をリフトという乗降装置で登り、上から下へと滑走するものである」という説明を知りたいのである。
「青色申告のメリットとは」とか「こういう場合の仕訳はどうするか」とか、そういう事はたくさん書いてある。でも、簿記知識ゼロの超初級者ファースト青色申告民としてはそこではなく、「そもそも」の部分と「ゴール」をまず理解する必要がある。
前項にもあるように「通帳とリンク」というポイントを全く理解していなかったので「とりあえず最終的にどういう状態にすりゃいいのよ!」という点が全然晴れてこない。梅雨前線真っ只中です。
さすがに自分の力で切る抜ける範疇を超えている。と判断。まずは税理士さんを探そうという事に。と言っても近所に都合よく税理士事務所がある環境では無いので「税理士ドットコム」を利用し「これこれこういう状態で全くのど素人なので助けてください」と泣きつきました。担当してくれたコーディネーターの方は至極親切で易しく丁寧にこちらの状況を把握してくださり、MFクラウドに対応できる税理士さんを探してくれることに。ほどなくして、隣県にいらっしゃるクラウド確定申告を専門にやられてる税理士さんを紹介してくれました。流れとしては相手方税理士さんから電話があって面談・契約して指導を仰ぐようなのですが、事務所まで行っても良いし遠いなら電話やSkypeで指示してくれるとのこと。MFクラウド確定申告は第三者とデータを共有する機能もあるのでそれを使い遠隔指導してくれるとのこと。「まずは税理士さんからの電話をお待ち頂き相談してください」と。
が、まあ電話がかかってこない!掛けても留守電。それもそうですよね、税理士さんにとっては年に一度のかき入れ時。最も多忙を極める時期なのでしょう。なかなかコンタクトをとれません。
ちなみにコーディネーターさんによると確定申告の依頼は1件5万円だそう。小規模の零細ブロガーにとっては大きい額です。
話が前に進まないのでしびれを切らして自分自身でも税理士さん探しを続けます。たまたま見つけたクラウド系確定申告に精通している東京の税理士さんに今度はTwitterDMでコンタクトを取りました。「これこれこうで立ち往生しているんです助けてください」と泣きつきました。すぐに返信してくれて、「本来受任期間外ですが引き受けましょう」との優しいお言葉。ちなみに料金はどうなりますか・・・と恐る恐る伺うと「120分の電話面談・指導で¥30,000円です」とのこと。
税理士ドットコムより額は下がるけど120分で30,000円かぁ〜。。120分で全てを理解し書類作成が完了したらコストパフォーマンスとしては上々だけど、120分で全てを理解する自信がない・・・。
もし2回面談したら費用は倍の¥60,000円。それだと青色申告65万円控除分を食い尽くしちゃう訳でそれもどうかと・・・。んん。悩。
今回ばかりは赤字覚悟の勉強代として5万でも6万でもお支払して来年からの一人立ちにつなげるのも一考。どうすべきか。
青色申告会を活用!
並行してあらゆる可能性を模索し悶々とする中で「青色申告会」なるものの存在に気付く。公的な機関で、地域の商工会事務所に併設してある場合がほとんどの「個人事業主の青色申告をお助けする」機関。というか制度?
各県の窓口検索はこちらから→青色申告会ポータルサイト「窓口検索」
藁にも縋りたい状態マックスで早速最も近い隣町の事務所にTEL。こちらも親切に応対してくれて事情を話し、居住地を伝えると「それならそこの商工会にも青色申告会がありますよ」とのこと。ポータルサイトには出てこなかったけれど、どうやら家からすぐ近くの公民館のように小さい地元商工会にも青色申告会の機能があるらしい。小さい町なので載っていなかったのだろうか。
ともかく電話をすると「どうぞいらして下さい」との事。早速翌日MFクラウド確定申告から印刷できるものは印刷して出向きました。スタッフは全員で5名ほどの小さい商工会だけに、「青色申告会」として独立している訳ではなさそうで、「税務相談に来た個人事業主」をいつも通り応対する。といった様相。ちなみに商工会会員でも無いし、青色申告会にもこの時点では加入していません。
雑談もそこそこにいきなり作業開始。
「では早速確定申告書を作っていきましょうー」と「これがこうなってこう、ここはこう、ここにこれ」という様に手書きで着々と申告書類を作成していきます。まずは青色申告会なり商工会への加入手続きをしてから始まるものだとてっきり思っていたので少々戸惑いましたが、そんなことはさておいて話は進みます。
「最終的なゴールがわからないんです、タイシャクタイショウヒョウとか意味不明なんです(T_T)」と泣きつくと、「青色申告65万円控除はね、、銀行の通帳との数字をね、、仕訳はね、、、」という様にイチから丁寧に教えてくれる職員さん。まずは相談に伺ってどうするか決めようテイでいたのですが、そんなことお構いなしにどんどん話を進めてくれます。
「じゃ、こことこれとここをこう直してまた持ってきて下さい」と的確なアドバイス。ちなみにこの時点でも費用的な説明はなし。こういう相談は商工会会員、もしくは青色申告会に加入していなと本来受けれないのか?という問に「まあ・・・ほんとはね(笑)今回は相談ということでいいですよ」と。
神!!!
神対応とはこのことか。厳格な基準があるわけでは無いそうで。「まあ気が向いたら商工会にも入って下さいね〜」という緩〜いスタンス。全国津々浦々の商工会がそうかは知りませんが、幸いにも地元商工会は全く親切丁寧で、確定申告の相談程度なら無償対応というスタンスのようでした。
青色申告提出完了!
そして再び3日後に指摘された点を修正し、商工会を訪問。確定申告書諸々は後日まとめて税務署に持ち込んでくれるのだそうで、面談後そのまま提出してめでたく初の青色申告が完了。
商工会の相談員さんと話し、質問し、指導してもらう事で複雑に絡まったケーブルは少しずつ紐解けていき、梅雨前線真っ只中だったMFクラウド確定申告は少しずつ雲が晴れていくように理解が進みました。
「青色申告の全体像」とでも言いますか、通帳と帳簿の数字を常にリンクさせることや1月1日の通帳残高と12月31日の残高を照らし合わせて1年間のお金の流れ・収支・動きを記載することなど、実際に商工会へ出向き話をしたことで理解がかなり進みました。今思うとどうってことない気がしますが、一時は久々に「行き詰まった感」を堪能しました。
ところで開業届けを出す際には「果たしてこれは事業と言えるのだろうか」という事や「たったこれ位の売上規模で青色申告なんてして良いのだろうか」という事をよく考えていましたが、商工会にて相談する過程でこれらの不安や疑問が再出することは皆無でした。
というのも、相談員の方からそうした点に疑問を抱く様相を全く感じなかったため。収入源は「ブログの広告収益」だ。という事に対して例えば「え?ブログ?ブログってあの日記みたいな??」というようなリアクションがあるわけでもなく。「売上はこれくらいです」といった時に「え?それだけ?」という様な顔をされるような事もなく。当たり前かもしれませんが、彼らプロからしたら本人が「事業だ」といって開業届けと青色申告承認申請を出しているのなら等しく個人事業主として扱い、等しくサポートする。という姿勢が感じられて自分がやっている事にも自信が持てた気がします。
尚且つ「もしかしたらこういう販路の開拓が出来るかもしれませんね」とか「これからこんな道もあるかもしれないですよ」と、事業として拡大する道筋をアドバイスしてくれる姿勢も嬉しかった。
この道をもっと進んでみよう、もっと大きくしていこうと思えた青色申告でした。
やれば出来る!