他人、と言っても見ず知らずの赤の「他人」ではなくて、例えば古くからの友人や親戚、妹夫婦など、ごく親しい間柄の「他人」から投資アドバイスを求められたとする。
もしくは、求められた訳ではないが将来の備えとして積極的にオススメする。
そんなシチュエーションにおいて,
最適解はやはりインデックス投資であると断言したい。
アクティブ運用で腕を鳴らすウォーレン・バフェットも家族には「資産の9割をS&P500で運用」することを推奨しているし、投資活動に馴染みのない「愛すべき他人」の人生をより良いものにする為に早期からのインデックス投資のススメ。これしかないのである。
インデックス投資のススメ。
投資の入り口として推奨されることが多いのがインデックス投資で、自分自身もまずはインデックス投信への低額積立から投資活動をスタートさせた。
その後海外ETFを通じてセクター株(これも一種のインデックスだが)やレバレッジETF、日本株のアクティブ投信、更には米中日の個別株式にも投資しているが、例えば最近結婚した妹夫婦に資産形成のススメを伝授するとして、自分なりにどんなアドバイスが出来るだろうか。ということを考えた。
その最適解はどう考えてもインデックス投資で、出来るだけ早期にインデックス投信への積立投資を開始せよ。というのが答えになるだろうと思う。
どのインデックスに投資するのか。という部分に関しては一考の余地があるものの、市場の平均を獲る。という戦略は多くの人にとって有用な選択肢となるはず。
平均で充分ではないか
かのウォーレン・バフェット(とチャーリー・マンガー)自身はコテコテのアクテイブ投資家であり、その手腕で10年以上もインデックスを上回り続けている類まれな存在である。
ならば家族にも同じようにインデックスを上回る運用手腕を伝授しそうなものだが、これはバフェットとマンガー二人の特異な能力によるもので、同じことを残された家族が出来るとは彼ら自身も考えていないよう。
だから「S&P500へのインデックス投資で運用するよう」に言っている訳で、「市場を上回る」ことは並大抵のことではないと感じます。
投資が趣味でも仕事でも何でもない一般人にとっては市場の平均を獲ることが、労力×リターンのバランスにおいて最適です。
子供のいない共働き世帯ならば世帯収入は800万円〜1,000万円になるはず。税金、家賃、生活費、遊興費等々を差し引いても5万円〜10万円の貯蓄をすることは本来可能なはず(むしろそういう生活レベルにするべき)で、その貯蓄から出来るだけ多くの金額をインデックス積立投資に回す。
月5万円を年6%で30年運用したとして、それだけで4,800万円ほど。もちろん積立額と年数が伸びれば更に飛躍的に向上し、毎月10万円を30年ならば9,700万円、15万円なら1億4,000万を超えます。
ただ市場平均に乗っかっているだけで理論的にはこれだけの金額が積み上がる訳で、この単純な事実をより多くの、特に20代30代の若年層は知るべきです。
これを知っているかどうかで20年後30年後に格差の上層に行くのか下層に落ち込むのか。その分岐点になるはずです。
精神安定効用
インデックスに投資するというのは、その時点で何百〜何千もの企業に投資することと同義です。
それは即ち一社の倒産リスク、下落リスクとはほぼ無縁。ということです。長期に渡る投資活動ではいかに精神的安定を手にしながら継続するか。というのが大事な要素です。
個別株投資だとそうはいきません。飛ぶ鳥を落とす勢いだった超人気優良(と思われていた)企業が突然の業績悪化、もしくは不正が明るみに出て倒産。ということも充分に想定されることです。
アメリカでいうとエンロンやリーマン・ブラザーズ、日本で言えば山一證券や最近ではタカタなど、その例は数え切れません。
倒産とは行かなくても株価が急落、なんてことは日常茶飯事で、その値動きの幅はインデックス投資とは比べ物にならないくらい大きいです。他でもない私自身も資産の4割ほどを個別株で運用しており、そういった局面では大げさに言えば精神の安定を乱されます。
故に、全資産を個別株で運用しようなどとは到底思えない訳で、やはりいくらかインデックス投資をかませる事で精神の安定を図っています。
どの世界においても「出来るだけシンプル」が最上の戦略であるように、インデックス投資でも先進国(特に米国)・日本・新興国の株式と一定量の現金。このシンプルな組み合わせで長期のインデックス投資を推奨したい。