SPXL。正式名称は「Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF」、米国籍のレバレッジETFです。
実はわたくしモッティ、数ヶ月前からこのSPXLを不定期買付けしており、日本円にして現在200万円分ほどを保有しています。
名称が示す通り、S&P500の3倍のパフォーマンスを目指すブル型レバレッジETF。このETFの内容と投資経緯をまとめます。
SPXLへの長期投資を実践中です。
SPXLとは?
Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL)は世界有数の名インデックスであるS&P500の日々値動きの3倍を目指すレバレッジETFです。米国籍のETFなので証券口座では外国株式枠での買付けになります。
- 設定日 2008年11月5日
- 資産額 9億2527ドル
- 経費率 1.01%
2018年8月現在で9億ドル、日本円にすると軽く1,000億円を超す資産残高を誇りますが、レバレッジ無しでS&P500に連動するバンガードVOOなどは4,700億円もの資産を有することを考えると、レバレッジ型だけあって少々控えめな残高ではあります。
しかし、それでも1,000億円もの残高があれば流動性の観点からも必要にして充分。問題ありません。
経費率はさすがに実質1%を超えています。VOOは0.04%ほどなので明らかに高コストではあります。しかしだからと言っていきなり投資対象から外すのは早計で、上昇相場ではその僅かなコスト差など簡単に凌駕してしまうパワーを秘めています。
リターン実績
その圧巻のパフォーマンス。S&P500でさえここ5年の年率換算で約13%ものリターンを叩き出していますが、その3倍の成果を目指して運用されるSPXLのパフォーマンスは目を見張ります。
ここ5年の年率リターンは33.5%。あくまでもS&P500の「日々の値動き」に対して3倍なので単純に3倍にはならないですが、それでも年率30%超えという驚異的な数値を残しています。
以下、チャートです。

SPXL設定日からの対S&P500チャート。
あの名インデックスであるS&P500の値動きが全く単調に見えるほどのド派手な値動き。「インデックスをどれだけ上回れるか」がアクティブ投資の成否だとすると、ここまでの結果は充分すぎるほどです。
この9年間の騰落率は、
- S&P500 303.17%
- SPXL 1249.17%
9年前に100万円を投資したとすると、S&P500ならば303万円に。SPXLならば1,249万円に。
末恐ろしい数字です。
投資シュミレーション
しかし3倍のレバレッジが掛かっているということは、下落相場でも下方に3倍落ちるのがこのETFの恐ろしいところ。
試しにリーマンショック期にどれくらいの下落を見せたのか検証したいところですが、SPXLは2008年11月の設定で、まさにリーマンショックさなかに産声を上げたETF。もう少し前からの値動きがわかれば大暴落時の検証も出来るのですが、無いものはしょうがない。ひとまず2009年〜2012年あたりの3年間の値動きを拡大してみます。

リーマンショック直後値動き。青がSPXL、緑がS&P500。
リーマンショック〜2012年までの値動きを見ると、本家S&P500は大局的には右肩上がりであるものの、要所要所で大きな下落が見られるます。どっちつかずの不安定な相場で、世界的に恐慌の波が吹き荒れたのもこの頃。
2009年前半最初の大きな谷でSPXLは当然ながら大きく下げています。その後S&Pがじわじわと上昇に転じたことでSPXLも次第に本家S&P500に近接するところまで回復しますが、また2010年半ばの下落で大きく押し下げられています。2011年頃は大きくアウトパフォームしますが、また下落により大幅下落、再び上昇とまさにジェットコースターのような値動きを示しています。
グラフ中、左端の株価を100%とすると、SPXLは一時28.6%(-71.4%)まで下落。以降激しく上下しながらグラフ右端、2012年6月には135.5%まで上昇。対するS&P500は最大下落は71%(-29%)ほど、その後はSPXLをわずかに上回る137.5%にまで回復しています。
こういった相場環境ではSPXLの負の側面が露呈します。このグラフ期間中で言えば、過大なリスクを取ったにも関わらず最終的な投資成績はS&P500と変わらないどころか僅かに負けています。
これが完全な停滞相場になればレバレッジETFの特性によりずるずると下落し、完全な下落相場になれば恐ろしいほど下がっていきます。
つまりSPXLへの投資が成功する条件は何が何でも上昇相場が必要。下げ相場や停滞相場があったとしても、最終的に緩やかでも上昇相場に転じれば現在の様に大きく資産は成長します。
S&P500は今後も右肩上がりなのか
つまり、論点はSPXLが基準とするS&P500が「今後も成長を続けるのか」、そして投資する側に「停滞・下落期を乗り越えるだけの時間があるか」ということです。
かのウォーレン・バフェットも「資金の90%をS&P500に投資せよ」と言うくらい、時々で調整を迎えることはあっても長期的には右肩上がりだったのがS&P500という世界屈指の指数です。

1950年〜現在までの長期チャート。
2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックと大きな「谷」はあるにせよ、それでも成長を続けてきた。
これが今後も様々な紆余曲折を経ながらも成長を続けるのかどうか。こればかりは誰にもわからない訳で、あとは投資する側がそれを信じるか信じないか。結局はそういう事になります。
そしてもうひとつ。例えば2000年〜2013年頃にかけては2度の大きな下落があり、上がったり下がったりで巨大な停滞相場だったことがわかります。2013年以降、最高値を更新しいよいよ上昇に転じる訳ですが、このおよそ15年間、場合によっては20年間、上昇・下落を繰り返す相場が今後も来ないとも限りません。
そうなった時に辛抱強く、上昇期を待てる余裕が投資する側に無いとSPXLへの投資は成功しません。
投資を開始する年齢、投資金額、資金の性質。今後もS&P500は上昇を続けると信じ切ることが出来、完全に寝かせて置けるお金で長期運用する。それがSPXLへの投資条件です。
巷では「レバレッジETFは長期に向かず」という論理が多数ですが、ことSPXLに限っては「そうも言い切れないのではないか」というのが最近の考えです。
最大損失額と最大利益額
投資は未来の可能性に賭けるもの。きれい事を言えばそうなりますが、そういう意味ではSPXLは大きな可能性を秘めています。
が、前述の様に投資する金額や性質には細心の注意を払うべきで、私モッティの場合は資産全体の10%程度が限度、と考えます。
現在の資産残高で言えば、250万円くらいが限度。
この場合、大暴落が起きて資産の大半を一時的に失うとすれば最大損失額は元本ベースで250万円。もちろんその時に2倍の500万円になっていれば時価ベースでは-500万円の損失になります。
他方、SPXLはここ5年で年率33%という凄まじいパフォーマンスを叩き出しており、その年率で元本250万円が成長を続けた場合、20年で7億にも達することになります。
さすがにそれは楽観的すぎるとして、例えば年利20%くらい(S&P500の期待リターンである年率7%の約3倍)で計算すると9,584万円に上昇します↓

野村證券マネーシュミレーター「みらい電卓」より
投資資金を一時的に全て失う可能性もあるが、およそ38倍に膨れ上がる可能性もある。当然、全財産の大半をこうした性質のETFに振り向けるなど断固するべきではありません。しかし、未来の可能性に賭けて一部を振り分けることは投資戦略として充分に正当性があると感じます。
という経緯で私モッティはSPXLへの投資を始めたのでありました。さあどうなるか。
