投信界隈における2015年の一大ニュースといえばこれ。
「三井住友DC専用インデックスシリーズが一般販売!」
そしてそれに負けじと対抗したニッセイの信託報酬引き下げ。
三井の乱とも言うべき低コストインデックスファンド市場に激震をもたらしたDC商品の一般販売化。
そしてそれを一刀両断、低コストインデックスファンドの座を是が非でもと死守したニッセイ。
利用者にとっては大変ありがたい意義ある攻防でした。
三井の乱を完璧に封じきったニッセイでしたが、多くの観客は公式HPにある「Coming soon!」から三井にはまだ隠し玉があることを予想。
同じく三井住友DCの先進国株式クラス商品である「三井住友DC外国株式インデックスS」(信託報酬0.16%)がその隠し玉ではないか!?
と色めき、ニッセイとの新たな攻防の第2幕開演を心待ちにしていた訳ですが・・・・
まさかのバランス型ファンド!意気消沈・・
その「Coming soon!」がついに明かされることになりました。
Night walkerさんのブログで知りました。
楽天証券 三井住友 低コストファンド Coming Soonの結果! https://t.co/uIwNWw18tB
— NightWalker (@nwalkerz) 2015, 11月 30
はい。正直拍子抜けとしか言いようがないですね 笑
先進国株式クラス、もしくは日本株式クラス等、てっきり資産クラス単体商品で攻めてくるのかと思っていただけにまさかの斜め上を行く隠し玉でした。
これにはニッセイ側も安堵したのではないでしょうか。
全4種類、信託報酬0.22%〜0.24%と確かに低コストではあります。
が、この件について取り上げたkenz氏のブログにも書かれているように、
ただ、DC年金バランスゼロ(債券型)(マイパッケージZERO)は債券のみに投資、他の3ファンドも日本株式偏重の基本配分比率と、一昔前のバランスファンドの配分比率となっています。
確かに信託報酬0.22%〜0.24%は中々優秀です。低コストではあります。
ただ、おっしゃるようになんだかいまいちパッとしない配分。何というか、、おじいちゃん的配分です。
それはさておいて、実際このバランス型ファンドを買うのと、自作で同じアセットアロケーションを組むのと一体どちらが低コストなんでしょうか?
気になったので早速検証!!
使うのは「もっとお金の話がしたい」謹製のエクセルツールです。
自作で同じ配分を再現するのに利用するファンドはもちろん各資産クラスで最も低コストなものを選択。
- 日本債券
- 先進国債券
- 日本株式
- 先進国株式
以上4クラスで最も信託報酬が低いファンドは・・・
やはり全部ニッセイ「購入・換金手数料無料」シリーズでした。
この抽出にはお馴染み「インデックス投資日記@川崎」さんの以下記事を参考にさせて頂きました。
低コストインデックスファンドの実質コスト完全比較 (2015年11月更新)
ニッセイインデックスシリーズの信託報酬は
日本債券 | 0.15% |
先進国債券 | 0.20% |
日本株式(TOPIX) | 0.29% |
先進国株式 | 0.24% |
となります。
DC年金バランスゼロ(債券型)
まずは債券と短期金融資産のみで運用されるもっとも保守的なプラン。
その資産配分は、
コストは実質値ではありません。信託報酬です。
保守的ですね。
リスク・リターンについてはあくまで参考までにと考えて下さい。
各アセットクラスの期待リターンをどう設定するかでかなり変わってきます。
ちなみに当エクセルツールではその各クラスの期待リターン・リスクも自由に変更出来るようになっていますので、任意の数値で試算することも可能です。
そしてニッセイ「購入・換金手数料無料」シリーズに単体でファンドを購入した場合の信託報酬ですが・・・
なんと!!
下回りましたね!
DC年金バランス30(債券重点型)
次にちょびっと株式も入ったものの債券に重きを置いたプラン。
こちらもかなり守り重視の資産配分ですね。
もしこれ一本のみ保有するとすると、個人的には日本資産80%とだいぶ偏っているのが気になります↓
さておき、この資産配分をニッセイ「購入・換金手数料無料」シリーズで再現した場合の信託報酬は・・・
こちらも下回りましたね。
DC年金バランス50(標準型)
次です。
このプランからようやく本格的に株式クラスが入り始めますね。
株式50%:債券45%:短期金融資産5%という比率です。
これもニッセイで再現すると・・・
おっ!肉薄してきました!
が、まだわずかにリード。その差0.02%ですが。
DC年金バランス70(標準型)
株式70%、今回の4種の中で最も積極的にリスクを取りに行った配分ですね。
それでも日本資産65%というのが気になるポイントではあります。
さてこの配分をニッセイで組んだ場合の信託報酬は・・
おお!並びましたね!
ここにきてようやく同等のコストとなりました。
やはりニッセイ強しか
以上のような結果となりました。
最後には並ばれたものの、序盤3ファンドに対しては0.02%以上の差を付けてニッセイの勝利となりました。
たかが0.02%、されど0.02%運用資産が2000万円だったら??
年間4,000円の差です。
運用期間が30年だったら??
120,000円の差です。
それが大きいか小さいかは各人で違うかもしれませんね。
いち受益者としては、健全な競争をもっともっと積極的にして頂いて長期投資・資産形成に好影響をもたらす施策を期待します。
DC商品の一般販売化がかなりインパクトがあっただけに、三井住友の動向に期待していた人も僕自身を含めかなりいたんじゃないかと思います。その期待が高かっただけに、またこうして実際に色々と試算してみるとやはり今回の発表は前回ほどのインパクトを残せなかったのではないでしょうか。
今回も楽天証券にって単独取扱の模様ですが、当初から計画されていた通りなのか。ニッセイの攻めの一手を受けて作戦を変更せざるを得なかったのか。
どちらかはわかりませんが、低コストインデックスファンドの牙城はまだまだニッセイに分があるように思えますね。
個人的には先進国株式クラスを期待していただけにガッカリ感は否めませんねぇ。。
しょうがない、今後に期待ですね。