つい先月の話ですが、相互リンク頂いている「 Time is moneyキムのお金日記 」管理人である金村氏がセミリタイアを達成されました。
32歳にして4,200万円もの資産を確保し、かねてから目標にされていたセミリタイアをついに実現。相互リンク頂いている端くれとして祝福の言葉を贈ります。

最近公開されたプロフィールによると、「大学を卒業し新卒で公務員になった1年目からセミリタイアを意識し、資産形成を開始した」そうなので就職前の資産がいかほどあったかは不明ですが、とにもかくにも約10年あまりで4,200万円もの資産を築き目標を実現した事になります。
その実行力というか、胆力には尊敬の念しか浮かびません。
セミリタイヤ実現に思う
もちろん、資産の形成にあたってはインデックスファンドやETF、個別株などなど、「金融の力」も利用されているようです。しかし、その期間も推測するに10年くらいでしょうからそこまで大きな複利パワーを享受した訳では無いと思います(それでも約1,100万円ほどの投資益があるようですが)。
それ以上に、可能な限りの、そして超ストイックな家計管理による所が大きいと推測します。公開されている2017年の家計内容を拝見すると、収入572万円に対し支出が110万円、すなわち貯蓄が462万円です。貯蓄率で言えば年間で80%程です。単月ではなく年間で、です。該当記事を見てみるとわかりますが、食費は外食費と合わせても10万円を切っていますし、日用品費は13,000円、教養・娯楽費も78,000円ほどです。繰り返しますがこれも1年間で、です。
いや、凄まじいです。
セミリタイヤをする。という目標を定め、そこに到達するための計画を描き、それを実現すべく地道に努力をする。その結果得られた狙い通りのセミリタイヤ実現。私なんぞは彼のここ数年の動向しか知りませんが、新卒1年目から足掛け10年、その努力を続けてこられた訳で、その偉業に対して敬意を評したいと思います。
既婚者にとってのセミリタイヤは厳しい。
恐らく金村さん自身も色んなところで言われただろうと推測しますが、30代40代でセミリタイヤすることが果たして「良いのか」どうか。あるいはそれが「幸福なことなのだろうか」という議論はあると思います。
大きなベクトルで言うと、独身か既婚者か、既婚者ならば子供がいるかいないか。その他にもたくさんの要素があって、それぞれが複雑に絡まってセミリタイヤすることが「良いことか」「幸福か」という問いに影響を及ぼします。
例えば、私自身も「仕事人生」、他人に雇われて働くサラリーマン人生には何の魅力も感じませんし、その能力も無いと思っています。「生活の為」以外に働く理由が見つかりませんし、それだけを考えれば可能な限り早急にセミリタイヤをしたいと思っています。
しかし、私は既婚者であり、既婚者であるということは妻やその両親、兄弟に対して「何らか」の責任がある。と言うことになります。例えばセミリタイヤによって経済的苦痛を強いるような事は以ての外、その他にも、「セミリタイヤ生活」が、妻の家族や極親しいコミュニティの人間に理解されない。という社会的苦痛を発生させる場合もあります。
この「理解されない」可能性は大いにあって、例えば私の妻の実家は自営業を営んでいる関係で兄弟はもちろん両親も未だ現役で活躍しています。その活躍の経済的好影響を少なからず妻も、ひいては自分自身も享受している訳で、その環境でセミリタイヤをして妻一家の理解が得られるとは到底思えません。妻自身も「うちの親がまだ働いてるのにあなたは仕事をしないの?」という疑問が当然浮かぶでしょうし、両親も「私らが働いてるのにキミは働かないのかね?」という、自営業で生計を立てて来た人間からしたら当然の疑問を抱くでしょう。
子育てへの影響は??
あるいは子供がいた場合、教育上果たしてそれがプラスに働くのか、マイナスに働くのか。
以前どこかのブログで「子供への影響を考えて、初めてセミリタイヤしたことを後悔した」という内容の記事がありました。セミリタイヤによって教育資金が枯渇するなどは論外ですが、資金ではなく子供の「人格形成」に対して果たしてどうなのか。という疑問が残ります。こればかりは想像の域を出ませんが、仕事をしていない父を持つ事は子供の人格形成上好ましくないのではないでしょうか。
学校に行けば「お父さんのしごとを描きましょう」的な授業があったり、友達どうしでそういう話があったり、「自分の父親がどんな仕事をしているか」という事実は、その父親の仕事への情熱の程度は別として子供にとってはとても重要な要素だと思うのです。
独身とセミリタイヤの親和性は高い。
私達の親世代よりも我々世代の方が格段にセミリタイヤがし易くなってきたのは事実です。様々な投資商品をさほど労無く利用することが出来ますし、それに関する情報量にも雲泥の差があるはずです。年利平均5%ほどの投資益ならばインデックスファンドで充分期待出来ますし、その場合「入金額が多ければ」という条件は付きますがかなり確率高く、余生を働かずとも生きていくだけの資金を得ることも出来るはずです。
そういう生き方は「有り」だと思うし、出来るならば実現したい未来でありながらも、しかし世間、もっと現実的に言えば自分の家族やその家族にまでストレスを与えず平たく言えば「支持されながら」セミリタイヤを出来るかと言えば、私自身の環境ではかなり厳しいです。
対して、独身で尚且つ経済的にも社会的にも自立しているならば自分以外にその影響を与えるのは親兄弟で済みますし、それならば充分に理解も支持も得られるでしょう。別に友達に悪影響を及ぼすことも無ければ、親兄弟に対してもいざという時、援助や介護くらいはきちんと出来るでしょう。
そう考えるとセミリタイヤ生活は独身との親和性が高く、既婚者にとっては極めてハードルが高いと感じます。もちろん不可能では無いでしょうが、理解を得るために相応の、しかしかなりの労力が必要で、そのための努力の継続も問われることになりそうです。そうなると、

というジレンマに陥りそうです。
独身や既婚、子供の有無、これらはどちらの方がより良いか、幸福かというものではありません。言ってしまえばどちらもそれぞれに幸福であり、それぞれに良さがある訳です。
私は子供のいる暮らしをまだ知りませんが、例えば独身も既婚もそれぞれに別の幸福があることは知っています。結婚すればそれまでには感じなかった幸福を得る事ができる反面、独身でしか味わえない幸せとは無縁になります。
世間的には結婚することが人生最良の、幸福な選択であるとの認識がされていますが、そんなことは無く、独身でも充分に幸せな生活を送ることは可能です。
隣の芝生は青いかもしれませんが、こっちの芝生も青いのです。
そういう意味でもセミリタイアは独身の強み、幸せを発揮できるその最たる例と感じます。
それを追求した金村氏のセミリタイヤを祝して。