確定申告シーズンの到来です。
米国株式および米国ETFへの投資を行ってる場合には、サラリーマンであっても確定申告をして米国での配当課税分をいくらか取り戻すことが出来ます。
今回はSBI証券ユーザーによる外国税額控除の申請方法をまとめています。
確定申告の外国税額控除によって二重課税された税金を取り戻す。SBI証券版。
日本の配当課税率が約20%なのは周知の通り。これが米国だと約10%になる訳ですが、問題は日本の証券会社を通じて米国のETFなり個別株に投資して得た配当に対しては米国の10%+日本の20%の計約30%も税金が差っ引かれることにあります。
この両国二重課税分を取り戻す助け舟として「外国税額控除」という制度があります。これを確定申告時に申請することで、米国で課税された税金の一部が戻ってきます。赤文字で強調しましたが、一部です。全部ではない点は注意が必要です。
他証券会社では1年間の外国徴収税をリスト化してくれる所もあるようですが、SBI証券はそんな事はないようで、実は極めて面倒くさい手順を踏まなくてはなりません。
以下、順を追って説明していきます。
①外国税額控除に必要な4つの数字を探す
外国税額控除に必要な数字は以下の4つです。
- 配当金金額(ドル)
- 外国源泉徴収税額(ドル)
- 配当金金額(円)
- 外国源泉徴収税額(円)
4つと言っても「配当金金額」と「外国源泉徴収税額」の外貨と円貨をそれぞれに。という事ですね。
これら4つの数字はSBI証券から交付される「外国株式等配当金等のご案内(兼)支払通知書」電子交付のお知らせ」に記載されています。
外国株式等配当金等のご案内(兼)支払通知書の場所
このお知らせがどこにあるかと言うと・・・

「口座管理」→「電子交付書面」にあります。
「電子交付書面」下部の「閲覧」から交付書面のページに入ります↓

ここにズラッと交付文書が並ぶ訳ですが、初期状態だと売買報告書や運用報告書が混じり煩雑なので以下のように「受信年月」と「件名」にて絞り込みを行います↓

受信月は今年1月〜12月に、件名を「外国株式等配当金」とすることで、当該書類だけを表示することが出来ました。配当の回数分この書類が存在することになり、人によっては20、30とかなり多い場合も考えられます。
しかし、全てを閲覧し必要な数字を手動でピックアップするしか現状は方法がないようです。残念・・・。
NISA(少額投資非課税)内の配当は除外する!
NISA内にある株式・ETFでは国内課税はもちろん、外国徴収税もそもそも存在しません。よって外国税額控除には無関係です。除外します。
②数字をエクセルで集計(ダウンロード可)
NISA枠の場合、以下のように「口座区分」に少額投資非課税の文言が入り、下部の税額がすべて0になっています。これは除外します。

注意点を踏まえ、先に示した4つの数字を抽出していきます↓

- 配当金金額(ドル)
- 外国源泉徴収税額(ドル)
- 配当金金額(円)
- 外国源泉徴収税額(円)
交付書面をひとつづつ開き、4つの数字をエクセルに転記していきます↓

ひとつひとつ数字を転記していき、ただ合算して合計を出す。単純なシートですが、同じエクセルシートをダウンロード出来るようにしました。よろしければお使いください。
合計した上記4つの数字を確定申告画面にて入力します。
③確定申告書類に記入
国税庁、確定申告作成ページ「外国税額控除」の項目で集計した4つの数字を入力↓

その他の項目は画像の通り。所得の計算期間は年始〜年末まで、納付確定日と納付日も年末の日付としました。

続く「調整国外所得の計算」も③と同額を記入。
「次へ(入力終了)」を押すとご覧のように外国税額控除額が自動入力されました。

意外と少ない外国税額控除額だが、それでもやるべき。
結果、自分の場合では8,322円徴収された外国源泉徴収税の内、2,842円が控除として戻ってくることになりました。
率にして約34%。
「たった34%か」という印象ではありますが、今後配当が徐々に増え、税額の「桁」が変わってくるようだと、たとえ34%でもかなり大きく感じるかもしれません。
また、控除前には国内20%+米国課税10%で合わせて約30%もの課税があった訳で、その米国課税10%の内34%が戻ってくるとなると米国課税の実質税率は6.6%ほどになります。国内課税分と合わせれば実質税率は約26.6%となり、全体ではたった4%弱とは言え、長期的には地味に効いてくるはずです。
しかし、それでも米国内だけで投資する米国人は10%の課税のみで済んでいるわけで、長期で見れば配当再投資戦略のパフォーマンスに大きく影響を与える事が推測できますね。
そう考えれば日本人より米国人の方が圧倒的に税制面が有利で、米国人著者によって書かれたものが多い投資名著の前提も我々日本人には多少不利であることは理解しないといけません。
SBI証券ではかなり煩わしい作業が必要になりますが、取り戻せるものは少しでも取り戻し、節税に努めたいですね。