1億円を貯める。
途方もないゴールにも思えますが、しかし一般的サラリーマンにとってもやり方によっては決して不可能ではないゴールです。
お金が必ずしも「幸せな生活」に直結するわけではないことは多くのお金持ちが証明してくれていますが、しかしお金がもたらす幸福も多々あるのが現実です。
1億円を貯めるにはどうするか?どれくらいの時間が必要なのか?毎月どれくらい積み立てればいいのか?
気になる所をまとめてみました。
1億円を貯める方法とその考え方。
橘玲著「幸福の資本論」によれば、幸福な人生を送るための基礎要素として、
- 人的資本
- 社会資本
- 金融資産
この3つが必要だと説かれています。捉え直すと人的資本=稼ぐ力、社会資本=人との繋がり、金融資産=財産と言うことになりますが、実はこの3つをいずれも高次元で保有するスーパーな人というのはごくごく限られた一部の人間だけで、大抵の人はこの内1個か2個に偏重した人生を送る事になります。
もちろん全てをバランスよく獲得出来ればそれに越したことは無い訳ですが、そうは言っても簡単なことではありません。特に「稼ぐ力」「人との繋がり」は実体のない概念的な力であるのに対し、「財産」だけは目に見える実体のあるもの。コツコツとした小さな努力が一番結果となって現れやすい対象でもあります。
この「財産」を最大化するにはどういったアプローチが必要なのでしょうか。
1億円を貯めるには
- 働いて現金を得る
- 倹約生活でタネ銭を創る
- 長期で運用する
この3つが財産を最大化するアプローチです。働いて現金を得るのは言わずもがな。お金を貯めるにはまずお金を得なければ何も始まりません。
そしてその得たお金を目前の欲を満たすためのみに使っていれば当然お金は貯まりません。手取りの何割かは毎月必ず貯蓄に回さなければいけません。
そしてそのタネ銭を長期で運用する。これが1億円へのロードマップです。
運用の利回りと期間の関係
お金を貯めるにあたって「運用」は切っても切れない関係です。運用をせず100%現預金だけで貯めていく、例えば積立預金のような運用益の出ない方法でお金を貯めるのは途方もない労力を要します。
例えるなら100%自分だけの力で、人力だけで旅をするようなものです。もちろん不可能ではありませんが、途方もない時間と、途方もない金額を自らの力だけで貯めなくてはいけません。
ではなくて、自分の貯める力+お金自身にも働いてもらって旅を進めるのです。

1億円を貯める運用期間と利回り別の積立額
この表は縦軸に運用期間、横軸に運用利回りを取った、「1億円を貯めるのに必要な毎月積み立て額」です。
運用期間が長く、利回りも高い左上が最も積立額が低くてすみ、期間が短く運用利回りも低い右下が最も積立額が多いです。この表が意味するところは、利回りが高ければ高いほどいいのはもちろん、要は「早く始めたもん勝ち」という如実な現実です。
例えば60歳までに1億円を貯めたいと思っている、20歳の人間がいれば運用期間は悠々と40年採ることが出来ますが、30歳ならば30年しか採ることは出来ません。同じく40歳ならば20年。15年、10年になってくると余りに非現実的な積立額になってくるので、とにかく早ければ早いほど「自力」の要素は軽くなってきます。
40年の運用期間があり、内外株式への分散投資で期待される年率6%の利回りで運用した際の積立額は毎月5万円です。あるいは安全資産への配分を増やして堅実な3%程の利回りを狙ったとしても毎月10.8万円の積立ですみます。もちろんこの金額を40年続ける訳なので決して楽ではないですが、非現実的な金額でもないはずです。
もし30歳からスタートしても例えば目標達成時期を70歳にずらせば同じく40年の運用期間も採ることは可能で、とにかく運用期間を長くとるのが最善の策。という事がわかります。
そういう意味では1億円の金融資産を築く。という目的に特化すれば、大学へ進学せず高卒で就職して19、20歳から働き始める、というのもある意味合理的な選択かもしれません。
月5万円を貯めるのに必要な貯蓄率
貯蓄率とは給料の総支給額から税金社会保障費を除いた「手取り収入」に対する貯蓄額の割合です。

目標貯蓄額に必要な手取り収入と貯蓄率
この表は縦軸に貯蓄率を、横軸に目標貯蓄額を取った際の「必要な手取り月収」です。
貯蓄率は「倹約・節約の頑張り度」と捉えて、例えば貯蓄率50%は「かなり頑張る」タイプの人。これは収入がそこそこ高いのにかなり質素倹約な生活を送った場合(例えば実家暮らし等)に達成される数字です。
逆に10%はそもそもの収入が少ないか、もしくは「全然頑張らない」タイプの人。というイメージです。表の10%の欄を見れば、手取り月収80万円あっても8万円しか貯められない人、30万円あっても3万円しか貯められない人、と言えばなんとなくイメージ出来るでしょうか。
で、月5万円の貯蓄をするには頑張る貯蓄率50%の人ならば月10万円の手取り収入で達成可能ですが、これはかなり極端な例でしょう。実家暮らしで週2、3日のアルバイトでパラサイト生活をしている場合に出てきそうな数字で、少し趣旨が違います。
現実的には、そこそこ頑張る貯蓄率30%の人が、手取り16.7万円の収入で達成されるのが5万円という数字です。手取り16.7万円と言えば、総支給額で20万円ちょっとでしょうからこれは社会人数年目で充分達成可能な数字です。しかし、16.7万円のうち5万円は積立投資に回すわけで、残りの11.7万円で生活を切り盛りすることになります。
もしこれがしんどいならば、月2〜3万円得られる副収入を持つ。というのも戦略のひとつになりますし、あるいは結婚や同棲で貯める力を「二馬力化」して貯蓄率と積立額をアップする。というのも上手くいけばかなり有効な手となります。
前項で毎月5万円を年率6%運用×40年で1億円としましたが、毎月10万円を年率6%運用ならば30年で目標到達が可能です。
お金持ち=都会ではない。
お金持ち=都会、都市のイメージがどうしても付きまといますが、上記のように収入と貯蓄率との関係で言えばむしろ生活固定費の安い地方や田舎でもチャンスは変わらない、と言うことです。
確かに都会の方が給与水準も高いかもしれません。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2017)」によれば、都道府県別平均年収トップは東京都(615万円)ですが、同時に物価が最も高いのも東京都です。
ましてや運用の多寡、方法に「どこに住んでいるか」は全く影響しません。全ての取引がネットで完結してしまうので、固定インターネット回線はもとより、携帯電話さえ繋がれば近くに証券会社が無くても全く問題ありません。
コンビニもなく隣家がとてつもなく離れている過疎地だろうが、山奥だろうが、スマホがつながれば全てOKです。
貯蓄1億円へのチャンスは開かれている
そういう意味では全ての人(もちろん運用期間が長い方が有利)に1億円への門戸は開かれています。例えば20際で月収18万円とか、30歳でやっと月収25万円とか、40歳で30万円とか、決して高収入とは言えない普通の仕事をしている人や、都会とは無縁の生活をしている人にも等しくチャンスは与えられていると考えるべきです。
それに早く気づくか気づかないかが運命の分かれ道で、気づいた人にとってはこの時代の日本で生きることはものすごく幸運な事であり、気づかない人にとってはものすごく残酷な事実となります。
何よりたとえ最終的に1億円には届かなくとも、気づいて早く行動を起こした人と、未だにそれに気づいていない人との将来的な格差は想像以上に広がっているはずです。