税関係

年末調整の還付金はどんな時にいくら戻ってくる?計算方法は?

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税の割引券「所得控除」とは?

前述したように、年末調整とは税の割引券である「所得控除」を適用して本来支払うべき税額を確定する作業。その結果すでに前払いした税額より、確定した税額の方が少なくなることでその差額が還付される仕組みです。

この割引券が多ければ多いほど、額が大きければ大きいほど本来支払うべき税額は下がることになり、結果還付される金額も大きくなります。

所得控除には「年末調整で利用できるもの」と「確定申告でしか利用できないもの」の2種類に分かれます。

年末調整で適用できる「所得控除」

年末調整で適用できる所得控除は以下の13種。

  1. 社会保険料控除
  2. 小規模企業共済等掛金控除
  3. 生命保険料控除
  4. 地震保険料控除
  5. 障害者控除
  6. 寡婦(寡夫)控除
  7. 勤労学生控除
  8. 配偶者控除
  9. 配偶者特別控除
  10. 扶養控除
  11. 住宅ローン控除

誰もが利用できる一般的なものから、属性や境遇によって適用されるマイナーなものまで多岐に渡りますが、適用資格があるものは忘れずに申告しましょう。

代表的なものをいくつかピックアップ。

社会保険料控除

+  社会保険料要件

以下の保険料を納付した場合

  • 健康保険
  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 船員保険
  • 国民健康保険
  • 高齢者の医療に関連する保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険
  • 国民年金基金の掛金
  • 厚生年金基金の掛金
  • 国家公務員共済
  • 地方公務員等共済
  • 私立学校教職員共済
  • 労働者災害補償保険
  • 農業者年金など

ひと口に社会保険料と言ってもこれだけの数があります。毎月天引きされる給与所得者本人の健康保険や厚生年金保険料は年末調整時に自動適用されますが、その他家族の社会保険料や手取りの中から支払った保険料・掛金がある場合は忘れずに証明書を添付しましょう。

控除額

  • 保険料の全額

国税庁:社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

+  小規模企業共済等掛金控除要件

以下の掛金が対象

  • 小規模企業共済掛金
  • 企業型・個人型確定拠出年金
  • 心身障害者扶養共済制度の掛金
  • 控除額掛金の全額

個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除はこの項目になります。いずれも掛金全額が控除対象となるためこちらも証明書を忘れずに添付。

国税庁:小規模企業共済等掛金控除

生命保険料控除

+  生命保険料控除控除要件

以下の掛金が対象

  • 生命保険
  • 介護医療保険
  • 個人年金保険

生命保険料控除では個人で加入するこれら3つの保険種別が控除対象となります。

  • 控除額所得税の控除額
年間保険料控除額
20,000円以下保険料の全額
20,000円〜40,000円保険料×0.5+10,000円
40,000円〜80,000円保険料×0.25+20,000円
80,000円超40,000円
  • 住民税の控除額
年間保険料控除額
12,000円以下保険料の全額
12,000円〜32,000円保険料×0.5+6,000円
32,000円〜56,000円保険料×0.25+14,000円
56,000円超28,000円

国税庁:生命保険料控除

この枠の所得控除を目的として保険加入するのもひとつの手です。おすすめは以下2つ。

1

保険 税関係

明治安田生命「じぶんの積立」は生命保険?定期預金?節税目的で加入。

2017/07/19    

相互リンク先ブログ、金村さんの「Time is money  キムのお金日記」で紹介されていた明治安田生命の「じぶんの積立」という生命保険への申込みが完了しました。 ブログ記事更新しました~。人生初! ...

2

保険 税関係

個人年金保険料控除の活用にはJA共済「ライフロード」がベスト。

2017/08/08    

税の割引券=所得控除の中に、生命保険料控除という項目があります。 前回記事で書いたように生命保険料控除は更に 一般生命保険料控除 個人年金保険料控除 介護医療保険料控除 という3つの「子」控除を内包す ...

地震保険料控除

+  地震保険料控除要件

以下の掛金が対象

  • 地震保険
  • 火災保険の地震保険部分
  • 控除額支払った保険料の全額(最大5万円)

その名の通り地震保険に加入している場合に得られる所得控除。住まいの火災保険とセットで加入する場合がほとんどで、その地震保険部分のみの保険料が控除対象となります。

国税庁:地震保険料控除

配偶者控除

+  配偶者控除適用要件

  • 民法の規定による配偶者であること。
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色・白色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと

上記に当てはまる配偶者を扶養している場合に得られる控除。平成30年以降は所得が1,000万円を超える納税者には適用されなくなった

控除額(所得金額)

  • 900万円以下         38万円
  • 900万円〜950万円以下  26万円
  • 950万円〜1,000万円以下  13万円

国税庁:配偶者控除

配偶者特別控除

+  配偶者特別控除適用要件

  • 控除を受ける人のその年の合計所得金額が1,000万円以下。
  • 配偶者が、次の五つの要件すべてに当てはまること。
    1. 民法の規定による配偶者(結婚している)であること。
    2. 控除を受ける人と生計を一にしていること。
    3. 青色・白色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。
    4. 他の人の扶養親族となっていないこと。
    5. 年間の合計所得金額が38万円〜123万円以下であること。

前項「配偶者控除」の所得要件に当てはまらない場合、所得に応じて段階的に提供されるのが「配偶者特別控除」

控除額配偶者の所得金額   控除額

  • 38万円〜40万円   38万円
  • 40万円〜45万円   36万円
  • 45万円〜50万円   31万円
  • 50万円〜55万円   26万円
  • 55万円〜60万円   21万円
  • 60万円〜65万円   16万円
  • 65万円〜70万円   11万円
  • 70万円〜75万円   6万円
  • 75万円〜76万円   3万円

国税庁:配偶者特別控除

扶養控除

+  扶養控除適用要件

  • 12月31日現在の年齢が16歳以上の人で以下の要件を満たすもの。
    1. 配偶者以外の親族、又は里子や市町村長から養護を委託された老人。
    2. 控除を受ける人と生計を一にしていること。
    3. 青色・白色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。
    4. 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
      (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

上記に当てはまる親族を扶養している場合に得られるのが扶養控除。

控除額

  • 一般扶養親族(16歳以上)       38万円
  • 特定扶養親族(19歳〜23歳)     63万円
  • 老人扶養親族(70歳以上同居の老親等) 58万円
  • 老人扶養親族(70歳以上同居老親以外) 48万円

国税庁:扶養控除

住宅ローン控除

+  住宅ローン控除適用要件

適用条件

  • 新築又は取得の日から6か月以内に入居、適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること。
  • 住宅ローン控除を受ける年の合計所得が、3千万円以下であること。
  • ローン期間が10年以上あること

物件の条件

  • 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の半分以上が居住用であること。
  • 中古物件の場合、築20年以下であること。
  • 中古物件の場合、耐震基準に適合していること。

上記要件に当てはまる場合に得られる控除。控除額の一例は、

控除額

  • 入居日(H.26.1.1〜H33.12.31) 控除期間10年 年末ローン残高等×1%(最大40万円)
  • 長期優良住宅の場合は最大50万円

ただし、1年目は確定申告が必要。年末調整での控除は2年目から。

国税庁:住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)

年末調整で適用できない「所得控除」は確定申告が必要。

これら、年末調整にて適用できる「所得控除」に加えて、確定申告でしか適用できない所得控除も存在します。

  1. 医療費控除
  2. 雑損控除

これら2つに関しては、年末調整でその申告と適用が出来ず、確定申告にて申請・適用を受ける必要があります。

医療費控除

+  医療費控除適用要件

  • 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象)
  • 10万円以上

上記要件に当てはまる場合に得られる控除。控除額は

控除の対象額

  • 保険金などで補填された金額以外の実費の部分
  • 最大で200万円

となります。大きな怪我や病気で1年間に10万円以上の医療費実費がある場合は確定申告にてこれを申請することで、税の割引券として利用できます。

国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)

雑損控除

+  雑損控除適用要件

      1. 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
      2. 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
      3. 害虫などの生物による異常な災害
      4. 盗難
      5. 横領
    • その資産の所有者が納税者本人か、納税者と生計を共にする配偶者やその他親族(所得38円以下)
    • 事業の在庫としての「棚卸資産」、「事業用の固定資産」、「生活に通常必要でない資産」以外の資産

上記要件のように、自然災害や盗難、害虫被害などで直接生活に関わる資産に損害があった場合に得られる控除。

控除の対象額

次の二つのうちいずれか多い方の金額

  • (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  • (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

※差引損失額=損害金額+関連したやむを得ない支出-保険補填額

国税庁:災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

還付金を増やすには所得控除を増やす

以上のように、割引券となる所得控除には比較的誰もが利用できるものから、境遇や属性によって限られるマイナーなものまで、実に多種多様に存在します。

当然、これら所得控除が多ければ多いほど実際に支払う税金の額は少なくなる訳で、該当する境遇や属性にあたる人は余すことなく申請し、積極活用していきたいところですね。

 

しかし、自助努力でそれを増やすこともある程度は出来るわけで、例えば

  1. 社会保険料控除
  2. 小規模企業共済等掛金控除
  3. 生命保険料控除

の3つは個人の取り組み次第で控除枠を増やせる代表格になります。

社会保険料控除は前述の通り様々な公的保険料の掛金全額がその控除額として活用できるものですが、例えばアルバイト・フリーターや個人事業主で国民年金保険料を支払っていなければ、その分の所得控除=税金割引券を自ら放棄していることにもなる訳です。

他にも社会保険料の中では「国民年金基金」は国民年金のプラスαとし厚生年金に加入していない個人が加入する制度。これに加入すれば同様に掛金全額が所得控除として利用でき、老後への備え+所得税の節税にも役に立つことになります。

これと同じく公的年金と私的年金の中間的存在として利用できるのが個人型確定拠出年金(iDeCo)で、これは②の小規模企業共済等掛金控除として同じく掛金全額が所得控除の対象に。

また③の生命保険料控除はその項でも書いた通り、条件を満たした民間の生命保険、個人年金保険、介護医療保険の保険料が所得控除の対象となります。

節税メリットだけではなく商品の選定にも充分注意しなくてはならないですが、これらをうまく活用できれば所得控除が増え、その分税額は下がります。

以上のように税の割引券である所得控除が増えれば増えるほど、本来払うべき所得税額は下がり、結果還付金の額も多くなります。実際にはただ払いすぎた税金が戻ってきているだけですが、年末の給与に上乗せされるのは嬉しいものですよね。

所得控除が欲しいばっかりに無駄な保険契約などが増えては本末転倒ですが、意味のある支出ならば同時に節税にも繋がりメリットは大です。

上手に活用して年末調整に備えましょう!

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