ジェイリバイブというファンドがあります。日本株式中小割安銘柄に投資するアクティブファンドですが、これがなかなか素晴らしいパフォーマンスを叩き出す割に注目度が低いと言うか市民権を得ていないと言うか・・。
もう少し各方面で取り上げられても良いのではないか。と思うのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)にもジェイリバイブはおすすめ。
日本株式クラスのアクティブファンドで一番に思い浮かぶのは泣く子も黙る「ひふみ投信」。僕自身もNISA口座で「ひふみプラス」を¥19,000円、確定拠出年金口座で「ひふみ年金」を¥2,000円の合計¥21,000円を毎月積立てています。
インデックス投資を標榜する投信ブロガー界隈でもアクティブファンドとしては珍しく評価されているファンドでもあります。
アクティブファンドの存在価値
そもそもアクティブファンドの存在意義は、
インデックスファンドのパフォーマンスをどれだけ超えられるか。
結局インデックスファンドのパフォーマンスを越えないのならばわざわざ保有する必要は無いのです。個別株では無く「日本株式クラス」に投資したいと考えた時には日経225やTOPIX、JPX400などの指数(インデックス)に連動するインデックスファンドを利用するのが一般的。新興市場であるマザーズやJASDAQ指数もありますが、今のところそれらに連動するインデックスファンドは存在せず、「市場全体」という意味ではTOPIXに連動するインデックスファンドが最も適していると言われています。例えばこのTOPIX系のインデックスファンドよりも高いパフォーマンスを継続的に叩きだすアクティブファンドがあればそれは充分に投資価値に値するという判断になるわけです。
この「インデックスのパフォーマンスを超える」というポイントを継続的に達成しているファンドとしてひふみ投信は評価を高めて来たのだと考えられます。よく、「過去のパフォーマンスは未来のパフォーマンスを保証するものではない」、「過去は過去、未来は未来だ。」と言われますがそうは言っても過去にどれだけの実績を積んできたか。というポイントは決して無視できるものではないと思います。未来の事は誰にも分からない分、実績を参考にするしかありませんからね。
ひふみ投信のパフォーマンス
- ひふみ投信
- ひふみプラス
- ひふみ年金
と、現在3つの入口があるひふみですが、最も長期の運用実績がある直販商品の「ひふみ投信」を例に取ってそのパフォーマンスを検証してみたいと思います。
比較対象はSBI TOPIX 100インデックスファンド(DC)。こちらはTOPIXの内、時価総額の大きい100銘柄に絞って投資するファンドですが、値動きは本家TOPIXと全くと言っていい程同じ。SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)に選択されているファンドです。僕モッティ自身が日本株式への投資初期に利用していたので比較対象として持ち出しています。
(リターンデータはモーニングスターよりDL)
ひふみ投信の運用が始まった2008年10月〜2016年12月までの約8年間の累積トータルリターングラフです。
SBI TOPIX100が累積59.5%、ひふみ投信は137.3%と倍以上の好成績。ひふみ投信のコストは実質1.36%程、対するSBI TOPIX100は0.31%程と、約1%の差をもろともしない素晴らしいパフォーマンスを記録しています。リーマンショック直後の2008年10月に新規設定されたファンドだけに、下がる時に一体どれほど下がるのか、どれだけ持ちこたえるのかが過去のデータから伺い知れないことが残念ですが、この高パフォーマンスがアクティブファンドでありながらも多くのインデックス投資信奉者から支持されている根拠ではないでしょうか。
SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ
そしてジェイリバイブ。
こちらはひふみ投信より歴史が古く2006年7月31日に設定されたアクティブファンドです。
- ジェイリバイブ
- ジェイリバイブⅡ
- ジェイリバイブDC
と、ひふみよろしく3つの入口があるファンドシリーズですがコストはひふみ投信より更に高く、モーニングスターによると実質経費率は2.10%にも達する模様です。極めて高コストであることは間違いありません。が、高コストだからと言って運用の候補から外してしまうのは尚早な判断。僕自身もひふみと同額の¥21,000円を毎月積立を実行しています。
インデックス投資に慣れてくると全てをコストで判断しがちになってきます。特に最近は低コスト競争が加速してどの資産クラスでも信託報酬が0.5%を超えることが珍くなってきた程に低コストなインデックスファンドが続々誕生しています。コストは確実なマイナスリターンですから、低いに越したことはないのですが、一方で高コストであろうとより高いリターンを叩き出しているファンドならば充分に検討に値する事も確かです。
同じ指数をベンチマークとするインデックスファンドならば少しでもコスト安のファンドが有利になりますが、ベンチマークが存在しないアクティブファンドならばコストの優劣よりも比べるべきはトータルリターンの優劣です。
前述の8年リターングラフに最も長期の運用実績のある「ジェイリバイブ」を加えてグラフを再構築してみました↓
ひふみ投信の137.3%も驚きでしたが、ジェイリバイブは更に上をいく187.7%のトータルリターンを叩き出しています。もちろんコストは日々の信託財産から引かれていますから各ファンドともコスト控除後の数字、ということになります。
3ファンドのリスク・リターン関係
中々派手なパフォーマンスを記録するジェイリバイブですがそのリスク関係はどうなっているのでしょうか。以下に各3ファンドのリスク・リターン関係をまとめてみました。
SBI中小型割安成長株 ジェイリバイブ | ひふみ投信 | SBI TOPIX100(DC) | |
---|---|---|---|
経費率 | 2.10% | 1.36% | 0.31% |
トータルリターン1年 | 5.06% | 4.53% | -0.32% |
トータルリターン3年 | 24.79% | 13.20% | 5.57% |
トータルリターン5年 | 34.54% | 24.38% | 17.28% |
標準偏差1年 | 19.52% | 18.08% | 20.79% |
標準偏差3年 | 15.20% | 14.15% | 17.91% |
標準偏差5年 | 17.44% | 15.54% | 19.20% |
シャープレシオ1年 | 0.26 | 0.25 | -0.02 |
シャープレシオ3年 | 1.63 | 0.93 | 0.31 |
シャープレシオ5年 | 1.98 | 1.57 | 0.90 |
経費率からトータルリターン、標準偏差(リスク)、シャープレシオの1年・3年・5年の数値。データの出所はモーニングスターです。
リターンは前項のグラフに示した通り、ジェイリバイブが圧倒しています。注目したいのは標準偏差(リスク)にまつわる数字。標準偏差(リスク)とは簡単に言えば上下の値動きの幅。上がったり下がったりを繰り返しながら大局的には上昇に転じていく(と信じている)訳ですが、そのブレ幅を数値化したものになります。この数字が大きければ上下のブレ幅が大きく、騰がるときには騰がるが、下がるときにも派手に下がる。ということになります。
この数字を見ていくと意外や意外、インデックスファンドよりもアクティブの2ファンドの方が優れているんですね。特にひふみ投信は適時キャッシュポジションを増減させてリスクをコントロールする運用が効いています。標準偏差5年では15.54%と低く収まってますね。
表にはありませんがジェイリバイブとSBI TOPIX100を更に標準偏差10年、つまりリーマンショックも含めた期間で比較してもジェイリバイブの方が若干ですが低リスクになっています。
- ジェイリバイブ 19.96%
- SBI TOPIX100 20.49%
そしてシャープレシオ。こちらはリスク÷リターンで計算しますが、1リターンあたりのリスクの量とでも言いますか、どれだけ効率よくリスクに対してリターンを得ているか。を表す数値です。この数字が高いほどリスク・リターンの関係が効率良い。ということになります。
SBI TOPIX100は3つの中ではリターンが最も低く、リスクは最も高いので必然的にシャープレシオも低い。対してひふみ投信、ジェイリバイブは高いですね。ジェイリバイブに至っては1.98という並外れた数値です。ひふみ投信の方がリスクを抑えた運用をしていますが、リターンとの関係性を図るシャープレシオで見るとジェイリバイブの方が効率的な運用をしていることになります。素晴らしいです。
リーマンショック期の運用実績
さていくらリターンが高くシャープレシオも高いとは言え、下がるときにはどれほど下がったのかを見るべく、あのリーマンショック期にどんなリターン推移だったのかを調べてみました。ひふみ投信の運用はリーマンショック後からなので、ジェイリバイブとSBI TOPIX100の2ファンドについてリターングラフを作成。
ちょうどジェイリバイブの運用が始まった2006年8月からグラフがスタートしていますが、開始当初は運用が上手くいっていなかったのかインデックスを派手に下回りそのままリーマンショックに突入。ガツンと下げています。その後2010年頃からインデックスを上回り今日に続く訳ですが、こういう時代もあったのだと言うことは頭に入れておくべきかもしれません。
「顔の見える運用」の妙。
さてアクティブファンドの存在意義は「インデックスファンドでどれだけ凌駕できるか」だと前述しましたが、少なくともひふみ投信よりジェイリバイブの方がよりこの要件に当てはまっていると思います。故にジェイリバイブの方が純資産を集めて然りだと思うのですが、、結果は
- ひふみシリーズ 約1245億円
- ジェイリバイブシリーズ 約99億円
と圧倒的な差が出来ています。
ジェイリバイブはジェイリバイブⅡが出るまで積立買付け、金額買付けが出来ず口数買付けのみという、とても利便性の低いファンドでした。最近になってそれを改善したジェイリバイブⅡやDC版が追加されようやく人並みの利便性を確保しましたが、この点もシリーズの総資産成長を鈍化させた原因でしょう。
が、それにも増して影響するのはやはりひふみシリーズの販売戦略の巧さ。徹底的に長期投資をアピールし定期的にセミナーを主催したり、メディアや公式HPの造りも親しみやすくクリーンな印象を抱かせます。何より「顔の見える運用」として代表の藤野氏を始めファンドマネージャー陣の写真が堂々と掲載されていることは運用資産の増大に大きく寄与していると感じられます。なぜだか顔が見えると人は安心を憶えるもので、「ファンドの運営」というものが厚いベールに閉ざされた印象のある中で、これだけでだいぶ親近感が湧くことは確かです。
対するジェイリバイブを実質的に運営しているエンジェルアセットマネジメントという所の代表がちょいちょい顔を出してはいますが、戦略的とは言えず厚いベールに閉ざされている感は否めない所が残念です。
とは言え、ファンドの良し悪しはそうした「イメージ戦略」に左右されるべきものでも無く、問題は結果です。その点ジェイリバイブはひふみをも圧倒する実力があるわけですから、、、
もっと評価されていいのになぁ。。。