職場は飲食業なもんで、社員・アルバイト入り乱れて働いております。
加入条件を満たすアルバイトは社会保険に加入することになっていますが、
まぁイマイチ社会保険の利点というものが理解されていない様子。
中には「社会保険?入らないでいいです」なんて輩も。。
もちろん選択の自由はないんですが、いやいやこんなありがたい話を自ら断るなんてちょっとよく考えろ。と言ってやりたくなります。
10代、20代の若者にそれを言ってもムリかもしれませんが、同じ非正規雇用で働いていた人間として「絶対加入した方がいいよ!」ということを伝えたいのです。
国民年金・国保よりお得。断然入ったほうが良い。
まず社会保険とはなんぞや?という所から。
広い意味での「社会保険」とは公的に提供される保険の全てを指しますが、10代〜30代のアルバイトやパート等(学生除く)、非正規雇用者に関係する社会保険としては、
- 雇用保険
- 健康保険
- 厚生年金
の3つと考えてほぼ良いでしょう。
当然これらに加入すれば毎月の給料から自動的に保険料が天引きされることになりますが、「手取りが減ってしまう」などど思うのは浅はか。
確かに保険料負担がある分手取りは減るけれども、その分それなりの見返りを得ることが出来ます。
社会保険に加入すべき理由その1:失業手当てがもらえる
アルバイトやパート、面倒くさくなって辞めちゃった。もしくは辞めさせられた。(そうそう無いと思うが・・)
そういう「失業」時に貰えるのが失業手当。
雇用保険に一定の期間加入して保険料を支払っていれば、いざ失業した時に手当を貰うことが出来る。
これは別に辞めた会社から貰うわけではなく、ハローワークを通じて行政から貰うと思ってOK。
まずはアルバイトが雇用保険に加入する条件は
- 一ヶ月以上その職場で働く予定
- 一週間に20時間以上働いている
(厚生労働省:雇用保険の手続はきちんとなされていますか?より)
意外とシンプル。この条件を満たせば雇用側はアルバイトを雇用保険に加入させる義務が生じます。
雇用保険に加入したのち、一定期間働くと失業手当を貰う資格が得られる訳ですがその「一定期間」というのが、、
月11日というと、単純に週3日ペースなのでそこまで条件厳しくないですね。
過去2年間の内に週3日ペースで働いた月が合計12ヶ月あれば失業手当てを貰う資格ゲット!というわけです。
意外と簡単に達成できそうな条件です。少なくとも週3日で1年続ければ、いざ辞めた時に失業手当てが貰えることになります。
ちなみに会社の倒産や解雇(クビ)等、会社都合で辞めた場合は条件が緩くなり以下のようになります。
社会保険に加入すべき理由その2:健康保険に入れる(しかも折半!)
恐らく大半の善良なアルバイト・フリーターのみなさんは国民健康保険に加入していることでしょう。
日本が誇る国民皆保険制度。
そのベースとなるのが国民健康保険、略して国保です。
これに加入することで医療費負担3割(3歳〜69歳)で診療を受けることが出来たり、高額療養費制度を利用出来たりします。この点においては健康保険も国保も同じです。
大きく違うのは各種手当ての有無。
国保に比べると圧倒的に健康保険の方が各種手当(給付)が充実しています。
法に正確に言うと、色々ややこしくなるので国保と健康保険の実質的な給付の違いをズバッと言います。
出産手当金と傷病手当金があるかないか。
これが一番の違いと思ってほぼOKです。
厳密に言うと国民健康保険にもこれら2つの手当は存在しているものの、法的に「任意給付」という括りにあるみたいなので実施している自治体はほぼ無いそうです。
出産手当金とは・・・
産休期間中の生活を支える目的で、会社で加入している健康保険から支給されるのが「出産手当金(産休手当)」
(育ラボ:出産手当金(産休手当)を完全解説!いついくら貰える?より)
です。男性は利用出来ないですけどね。。
出産にともなって一律42万円が支給される出産一時金とはまた別。
出産前後の合わせて最大14週間、給付を受けることが出来るのが出産手当です。
これは健康保険でしか貰えない給付のひとつ。
ふたつめの傷病手当金とは・・・
病気やケガで会社を休んで給料が減った時に貰える手当。
です。
概ね給料の3分の2を最大1年6ヶ月間受給することが出来ます。
もちろん適用には細かな条件がありますが、いざという時に給料の変わりになるありがたい給付。
これがあれば民間の「収入保障保険」等に入る意味も無くなりますね。
これも国民健康保険では貰えない給付。健康保険のみにセットされている給付です。
そしてそして最後に重要なポイント。それは・・・
そうです。国保は保険料の全額が自己負担ですが、健康保険は自分と会社の労使折半。
会社が半分出してくれるんです!
国保より各種手当が手厚い分保険料自体は高額になりますが、自己負担分はその半分なので結果国保より割安になる傾向にあります。
僕自身、国保から健康保険へ移行した際、年収が上がったにも関わらず毎月の保険料は3,000円ほど安くなりました。
国保時代は月約16,000円。現在は健康保険で月13,000円ほどです。
保険料が安くなった上に、いざという時の手当もゲット。明らかに健康保険の方がメリット大だと思います。
まとめると、、、
社会保険に加入すべき理由その3:厚生年金も会社が半分負担してくれる!
1日&1ヶ月の労働時間が両方とも正社員の3/4以上。
これが厚生年金加入の条件。
この条件を満たすと厚生年金への加入が義務付けられます。
保険料は収入によって変動しますが、現在の僕の例で言うと月収29万円で厚生年金保険料は約25,000円です↓
上記は保険料自己負担分の概算。厚生年金保険料も健康保険と同じく労使折半なので、会社側もこれと同じ金額を負担してくれます。
つまり払い込む保険料の総額は自己負担分の倍額、ということになりますね。
月収17万〜18万円あたりを超えてくると厚生年金保険料が国民年金保険料を上回りますので手取りは減ることになります。
が、その分将来的に受け取る年金は増えることになります。
ちなみに厚生年金の保険料は国民年金の分も含んでいると考えてOK。
つまり受け取る年金は国民年金分+厚生年金分のダブルです。
平成27年の段階で、20歳から60歳までの40年間欠かさず国民年金保険料を払ったとして受け取れる年金の満額は78万100円。月あたりたったの65,083円。
厚生年金に加入していれば、年収や期間によって更に上乗せ分の年金が貰えることになります。
例えば40年間、平均月収30万円の職につき、その間厚生年金に加入していたとすると概算で年約83万円の厚生年金が貰えることになります。
月あたり6.9万円。
国民年金分と合わせたら月約13万円。バカに出来ないですね。
もちろん収入が多ければ多いほど、加入期間が長ければ長いほどもらえる年金は増えることに。↓
(AllAboutマネー:年金受給額を簡単早見表でチェック!厚生年金より)
更に、病気やケガで障害が残った場合に貰える「障害年金」や、自分がもし死んでしまった場合に遺族に支払われる「遺族年金」も同じように厚生年金に加入していれば上乗せがあります。
要は、国民年金の基礎的な機能に上乗せをしてくれるのが厚生年金というものですね。
しかも会社が半額負担してくれる。
手取りにこだわらず合理的判断を
いかがでしたでしょうか。雇用保険・健康保険・厚生年金、これら社会保険に加入すれば当然ある程度手取りは減ることになりますが、未来のこと、いざという時の事を考えればそうそう痛い出費では無いと思います。
「社会保険いらね〜」という人が制度をどの程度理解をしているのかよくわかりませんが、是非合理的に考えて行動したいものです。
健康保険・厚生年金のような労使折半では、会社側の負担が増加する訳で、それを嫌がって個人経営の零細企業なんかは加入を拒むケースもあります。(実際そんな所で働いてました)
会社の負担が増える分「給料下げる」なんて横暴でもされないかぎり、社会保険に加入することは実質的な賃上げとも捕えられます。将来受け取る年金を会社が払う訳ですからね。
恐らく今後マイナンバーに関連して、加入条件があるのに従業員に社会保険に加入させていない事業所は厳しく取り締まられていくでしょう。
アルバイト等、非正規雇用者もこれから社会保険に加入するケースが増えると予想されます。
「手取りが減る〜!」とは思わずに、「充実の保障が得られる〜」と思いたいですね。