先月2月下旬まで最高値更新の連続だった米国株式市場でしたが、ついに新型コロナウィルス感染が米国国内に及び始めた事を皮切りに、大きく調整しました。
「調整」という言葉で片付けるには少々下げ幅が大きく、暴落に極めて近い「急落」と表現するのが適切だったでしょうか。

VOOの直近2年チャート。
S&P500に連動するVOOは2月19日に史上最高値である310ドルを付けたのち、およそ一週間後の2月28日には271ドルに急落しました。
下落率は約12.5%。
パーセントで見ると2018年秋10月から12月にかけての下げ幅の方が大きいのですが、今回はその「下げスピード」がとにかく早かったことで、実際の下落率以上に恐怖を感じさせたのではないでしょうか。
実際、週間あたりの下げ幅はあの2008年リーマンショックを超えて過去最大を記録したとのこと。そして3月に入ってFRBが3月中の利下げ(株式市場に追い風となる)を匂わす発言をしたことで、今度は単日としてはまたまたリーマンショック以来の上げ幅を記録して急回復。
最速のスピードで下げ、また再びものすごいスピードで回復する。
もちろん、今日3月3日時点では全回復には至ってませんが、この上昇が一週間続くことがあれば「週間過去最大上昇」の記録がつくかもしれません。
複雑なアルゴリズムをもとに自動売買するシステムによる影響が所々で言われていますが、コンピューターサイエンスやITが発達した現代においては、今回のようなまさしくジェットコースターの如く変化する相場が当たり前になってくるのかもしれません。
少し前まで「ジェットコースター相場」といえば、その上下する「値幅」の事を指していましたが、これからは値幅に加えて「ジェットコースターのようなスピード」という意味も加わってくるかもしれません。
こうした新時代の株式市場、進化した「ミスターマーケット」の姿を目の当たりにして、いち個人投資家である自分自身の行動や心理をここで書き留めて置くことは、後々貴重な学びをもたらすかもしれません。
カン・チュンドさんのツイート↓
急落し続けているこの局面は、いわば投資の生の教科書。
お金では買えない「経験」と捉え、今の心境を偽りなく書き留めておきましょう。あなたのメモは次の急落時にきっと役立つはずです。 pic.twitter.com/TmZuwBu4ma— カン・チュンド (@4649kang) February 29, 2020
に触発されて、少し書いてみようと思います。
コロナショック体験記。猛スピードで急落する相場。
私が2014年に投資を初めて以来、ほぼ一貫して右肩上がりで上昇し続けてきたのが現在の米国株です。

2014年からのVOOチャート。
こうしてみると2018年秋から暮れにかけての下落、そして今回のコロナショックがこの期間における大きな下落だったことがわかります。
2018年上半期の下落もいれれば計3回。
これが私自身が経験した相場の急落回数です。
リーマンショック以降の10年、12年は恐らく特異なパターンであるような気がしますが、こうした数少ない急落を実際に「体験」できる機会は実に貴重です。
実際、今回のコロナショックは投資を開始して6年を経た「物心がついた」状態で初めて迎えた急落のような気がしています。
「相場を読む」という行為自体、基本的にはご法度と言うべきか、「そんなことは無理だ」という自戒を持つべきだとは思いますが、しかし反面、ある程度自分の中で仮説を持ってそれを半信半疑ながらも実行、検証してみる。というプロセスを通して一定の相場観を育てていく努力も必要ではないか。と感じています。
そういう相場観を育てる意味でも今回の下落は貴重な学びの場をもたらしてくれるのではないか。そんな淡い「期待」のようなものを自分の中に感じています。
もちろん、依然として先行きの見えない、予断を許さない展開が続いているように思いますが、どうにかこの「現時点での学び」を書き留めておければと。
「初めて」の下落に心踊る。
今回のような特異な下落に見舞われてみなさんどんな心情になったでしょうか。
恐怖や歓喜、欲望。
こういう時にTwitterを眺めると人々の様々な心情を垣間見られて面白いですね。
私自身は、

が大半でした。
ここ1年のトレンドを大きく割り込むような下落だったので、「安く仕込める!!」という思惑が前面に出たゆえの感情。
幸い、以前唯一保有していたレバレッジETFであるSPXLは昨年11月に売却していたので、レバレッジの下落恐怖は体感せずにすみました。
しかし、SPXLやTECL、SOXLなど、半月前までは絶好調だったレバレッジETFは当然大きな急落を迎え、一気に損切りに動いた個人投資家もちらほら見受けられました。
急落時に狼狽して投げ売るのが一番やってはいけない行動ですが、しかし、たかだか10%ちょっとの下落に狂喜乱舞して買いに走るのも果たして正解なのかどうか。

10年チャート。
現在は結構な騒ぎになっていますが、チャートを10年に引き延ばせばそれほど大きなトレンドの変化には見えませんよね。(少なくとも現段階では・・)
果たしてそんなことが出来るかは別として、2000年のITバブル崩壊や2008年リーマンショック時のような、長期で見て明らかにトレンドが変化している局面で狂喜乱舞して買いに向かえる胆力、精神力、資金力、メンタルを私自身は身につけたいのです。
その観点から言えば今回の(いまのところの)下落はそれには及ばないレベルの「調整」と言い切り、浮ついて買いに向かわず当初の方針をじっくり貫く腰の重さを持つことが正解だった気がします。
そして、もう一点。
恐らく今後増えてくるであろう、こうした超ハイスピードの下落そして回復という「ショー」にいちいち付き合うのも疲れるのでは?
という気もしています。不思議なものでそうした「ミスターマーケット」の演出が過激になればなるほど、中毒性が増してそこに飛び込んでいきたくなる誘惑に駆られる訳ですが、一歩引いてちょっと落ち着けよと。
そういう見方をできる眼力のような力も必要だよな。と今回はつくづく感じています。
とは言え、SOXLを75万円分ほど買う。
と、冷静(?)な意見を述べてきましたが実際には以前ブログで紹介したレバレッジETFのSOXLを200ドルで75万円分ほど買い付けています。
174ドルにまで下げて始まった金曜日のSOXL。もしやの反転上昇に備えるべく200ドルで逆指値をいれて眠りに付きましたが、翌朝みると見事に反転を迎えており結果200ドルで約定していました。
土曜の朝にそれを確認し、「ここで反転ならもっと買いたい!!」という欲に駆られ、未だ熱狂の只中にいましたが、ちょうど土日を挟んでから不思議と前述のような心境に落ち着きました。
このまま市場が上昇し元の水準に戻れば万々歳。この一連のコロナショックによる成果としては充分。
しかし、ここから再びの急落に陥り、直近高値から30%を超え、いよいよ「暴落」と呼べる局面に入るようだと・・・さあ果たしてどうしますかね。
プチバブル後にリセッションか?
3月の市場利下げ期待はほぼ100%と言える水準に達し、それに呼応するようにFRBも利下げを示唆するコメントを出す。
ここまで、様々な危機がある度にFRBが利下げや資金投入で株式市場を刺激してくれただけに、今度も大丈夫という楽観によって今の所大きく反発しているのが現在の状態でしょう。
つづいて世界中の中央銀行も同じく緩和に動いていることで全体的には大きくクラッシュすることなく、最低限の下げ幅でコロナウィルスによる株価の下落力を抑え込んでいる印象です。
中国では感染の広がりが徐々に頭打ちを迎えているように見えますが、米国を始め世界ではまだまだ拡大期にあるように見えます。
米国でのコロナウィルスに関するニュースも日に日に悪くなってきているように思えます。
そんな中株価がどっちに向かうのか。
ウィルスに負けるか、FRBや世界の銀行の金融緩和が勝るか。
「金融緩和をしている中でコロナが終息→再びバブルに似た大きな上昇→その後本格的にリセッション入り」
というシナリオがまことしやかに囁かれていますが、私モッティもこの説が濃厚なのでは?という気がしています。
いずれにせよ、過度な期待・悲観・相場観は厳禁。しかし、適度な相場観や目論見と検証を繰り返しつつ、どちらでも対応出来る体制と耐性を併せ持ちつつ、、これからも株式市場と対峙していくしかないのでしょう。
でもやっぱり、、
株式投資って、本当に面白いですね。