先日ちょっと用事があって金融機関の窓口へ行く機会がありました。
本件の処理を待つ間「よろしければ投資信託のご提案等いかがですか?」とお姉さん。
まっったく購入意思は無いし、そもそも窓口で勧められる投信などろくなものでは無かろう。とは思いましたが、時間もあったので「とりあえず説明だけでも」と金融機関のご提案を受けてみました。
三菱UFJバランス・イノベーション!
さてさて、ひと通り現在の投資環境を話したあと担当の方が一番にオススメしてくれたのは、、
「三菱UFJ バランス・イノベーション」というファンド。
既に名前が胡散臭いなぁ。
なんて思いつつ、ひと通り話しを聞いて資料をもらいました。
もちろん、そのセールスに心を動かされるポイントは無く、結論としては「投資価値なし!」と判断。全くの冷やかしに。
でも、その提案されたファンドに投資価値があるのかどうかを考える事はトレーニングとしてとても有効なのでは?と新たな発見。
例えば「なぜこのファンドに自分が魅力を感じないか」を考える。
あるいは、このファンドを自分の親しい誰かが同じようにセールスされたとして、「これこれこういう理由でイカンよ」とおせっかいにも説明出来る位の反論要素を考える。
そうすると逆に投資価値のあるファンドの条件があぶり出されてくる。
それを繰り返していけば、ファンドを見る目が養われるんじゃないかなぁ。
特にこれから投資を始めようとあれこれファンド選びに奔走している人なんかには良いトレーニングになるかもしれない。荒療治だけど。。
このファンドについて
三菱UFJバランス・イノベーションは「相場に合わせて機動的に各資産の組入比率を変化させる」のが最大の特徴みたいです。
投資環境が良くなりそうだったら株式比率を上げ、逆に悪くなりそうだったら株式比率を下げ債券比率を上げる。
そうすることで損失を最小限に食い止めたり、逆に収益を積極的に獲得することが可能になります。って目論見書には書いてあります。
リスク許容度に応じて以下の3つのタイプが用意されています。
- 株式抑制型
- 株式重視型
- 新興国投資型
よくある「安定型、成長型、積極型」みたいな感じですかね。
株式抑制型・重視型は、
- 国内株式
- 先進国株式
- 国内債券
- 先進国債券
の4資産に投資。
新興国投資型は、
- 国内株式
- 先進国株式
- 国内債券
- 先進国債券
- 新興国株式
- 新興国債券
の6資産に投資です。
株式重視型は国内・先進国の株式比率をそれぞれ最大42.5%まで、抑制型はそれぞれ最大22%まで高めます。
購入時手数料は2.16%
信託報酬は1.404%
信託期間は2023年3月24日まで。
さて、どう思う?
この辺りのことで、
資産形成は時の流れにまかせて。の管理人「いっさん」、
Around40 コツコツ happy lifeの管理人「opal」さんと先日やりとりをしたんですが、その内容も合わせてご紹介。
上記にもあからさまに赤字で書きましたが個人的に最初に気になったのはコスト&信託期間。
購入時手数料0%のノーロード投信が主流になりつつある昨今、2.16%は個人的にも許容出来ないレベルです。
そして信託期間は2023年まで。このファンドは2013年設定なのでちょうど10年の信託期間です。
そうですね。信託期限が2023年3月何日って書いてありますので9年で償還になってしまいます。長期投資向けとしては、無期限と書いてあるのを選びたいですね。 RT @opal10opal @moneymottoo そのうち終わっちゃうファンドってこと?
— いっさん (@tigers_mr2) 2014, 12月 2
上記ツイートにもあるように、20代〜40代の長期投資を前提とすると信託期間10年で設定されたファンドはそもそも論外です。
承知のように僕自身も20年30年40年と保有するつもりで現在ファンドを選んでいます。
その観点からしても信託期間10年は短すぎる。一考に値しないのです。
次に信託報酬。
実はこのファンド、実際に投資する「マザーファンド」と言われる親ファンドはほぼ全て市場平均に連動するインデックス型です。
単純にインデックスファンドのみで構成されたバランス型ファンドの信託報酬は0.5%台〜0.7%台といったところ。
参考気になる新規ファンド「SMTインデックスバランス・オープン」を比較。
「機動的に資産比率を変化」させるにしても1.404%は割高です。
そして機動的な資産比率の変化に伴い信託報酬以外にも売買手数料等が気になります。これらを含めた実質コストは特に頻繁に資産比率の変化があった年度等は更に上昇しそうです。
肝心のリターンは?
2013年に新規設定されたファンドということで長期のデータが取れずに微妙ですが、、
気になるリターンを比べてみたいと思います。
3タイプの真ん中、株式重視型。
こちらの2014年10月現在、最新の資産比率は
こんな感じ。4資産で株債券比率はほぼ50:50。
比較対象として、同じく4資産のインデックス型、株式債券比率50:50のバランスファンドとして4資産インデックスバランス(成長型)を チョイス。
この1年のトータルリターン比較をモーニングスターでやってみると、、
オレンジが4資産インデックスバランス、赤がバランスイノベーション。
アセットアロケーションが全く同じでは無い。という点を考慮しても、、
おやまあ、、結構な違い。。
買わないけど窓口にいくのはアリ
と、ざっとこうしてあれこれ「なぜ魅力を感じないのか」という点をまとめてみると、逆に自分自身の基準や納得できる範囲が少しずつ明確になってくるのではないでしょうか。
窓口に行って「投資を始めたいんです〜」などと言えばおそらくかなりの高確率で販売側が儲ける=投資側が損する商品を提示されることになるかと思います。
でもそれはそれで良い。その場で購入を迫られるなんてことは無いはずなので一度持ち帰ってあれこれ検討、比較、分析してみる。
「ここが気になる」「あれが嫌」「これはちょっと・・」という部分が見つかれば見つかる程、自分の中のファンド基準が定まっていく証。
悪いものを見て良いものがわかる。
ちょっと荒療治だけどこれから始めようとする方には結構いい練習になると思いますよ。